高齢者歯科・入れ歯

Senior

年齢を重ねたからといって
あきらめるべきではありません

お口の健康は人生の質を大きく左右します。年齢とともに歯の調子が悪くなると「もう仕方ない」と諦めがちですが、それは早計かもしれません。
なぜなら、歯の健康は単なる口の中の問題ではないからです。噛む力が弱まると消化不良を起こしやすくなり、栄養バランスも崩れやすくなります。また、歯周病は血管を通じて全身に影響を及ぼし、心臓病などの深刻な病気のリスクを高めることもわかってきました。
さらに、歯の問題は心の健康にも影響します。食べたいものが食べられない、話すときに歯が気になる、笑顔を見せにくい。こうした日々のストレスは、確実に生活の質を下げていきます。
しかし、現代の歯科治療には様々な選択肢があります。痛みの緩和から噛む力の回復、見た目の改善まで、症状に合わせた治療が可能です。適切な治療で口腔機能が改善すれば、食事も会話も楽しめるようになり、自然と笑顔も増えていきます。

口腔機能の低下

加齢とともに、口の働きが衰えていく。それが「口腔機能低下症」です。この症状が進行すると、食べる楽しみが奪われるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼしかねません。
以下の症状に心当たりがないか確認してみましょう。

  • 口の中に食べかすが残る
  • 肉や野菜など硬い食材を避けがちになる
  • 食事の時間が以前より長引く
  • お茶やみそ汁でむせる
  • 錠剤やカプセルが飲みづらい
  • 口の渇きが気になる
  • 食事中に食べ物がこぼれる
  • 話し方が不明瞭になる
  • お口を清潔な状態に保ちにくい

当院の高齢者歯科では、口腔機能低下症の検査と治療に力を入れています。お口の体操や筋力トレーニングで衰えた機能を回復することを目指します。

摂食・嚥下障害について

食事は生きる上での大切な営みです。しかし、その一連の動作がうまくいかないことがあります。食べ物を噛んで飲み込む機能が低下した状態、それが「摂食・嚥下障害」です。
以下の症状に心当たりがないか確認してみましょう。

  • 食事でよくむせる
  • 食べかすが落ちやすい
  • お口の中がカラカラする
  • 声がかすれやすい
  • 食べ物が飲み込みにくい

こうした摂食・嚥下障害を放っておくと、体に必要な栄養が取れなくなるリスクが考えられます。また、誤嚥性肺炎など命に関わる合併症を引き起こす危険もあるのです。

口腔ケアの重要性

「もう今さら…」とお口のケアを怠っているといろいろと不都合が出てきますから、おいくつになってもケアを受ける重要性は変わりません。
ケアをしないことで起こる不都合は以下のようなものです。

むし歯や歯周病などの歯の疾患

むし歯と歯周病は、最も一般的な歯科疾患です。特に注意していただきたいのは、初期症状が軽いために違和感に気づきにくい点です。むし歯は細菌の感染により歯が溶けていく病気で、進行すると激しい痛みを伴います。一方、歯周病は歯ぐきの炎症から始まり、歯を支える骨を徐々に溶かしていきます。どちらも早期発見・早期治療が重要です。
また、知覚過敏による冷たい物での痛み、歯槽膿漏による出血や腫れ、歯根膜炎による噛み合わせ時の違和感など、歯の不調は実に様々です。
これらの症状は早期発見が何より大切です。違和感を覚えたらすぐに歯科医院への相談をおすすめします。症状が軽いうちなら、痛みの少ない治療で歯を守ることができます。

歯がないために起こる不都合

歯の喪失は、思った以上に私たちの生活を変えてしまいます。見た目や話し方が気になって人付き合いが減る、好きな食べ物を避けるようになる、そして知らず知らずのうちに生活の質が低下していくなどです。
このような問題は予防できます。健康な歯を守ることは、年をとっても豊かな人生を送るための鍵なのです。

  • 見た目への影響

    歯の喪失は、私たちの生活に予想以上の影響を及ぼします。
    特に人との出会いの場面で、歯の欠損は大きなハンデとなります。前歯が欠けていると、第一印象で不利な評価を受けることも。ビジネスの場面でも、相手に与える印象が大きく変わってしまうかもしれません。
    また、歯を失うことは見た目年齢を上げる要因にもなります。頬がこけて、実年齢以上に老けて見えかねません。さらに、歯がないと力を入れる支点を失うため、スポーツや仕事の場面でもパフォーマンスが低下してしまいます。

  • 食事への影響

    歯の喪失は、食事の場面で思わぬ影響を及ぼします。
    家族との食事、地域の集まり、外食など、人と共に食事を楽しむ機会において、食事を食べこぼす心配は大きなストレスとなります。周囲への配慮から会話を控えめにしたり、食事の機会自体を避けたりと、大切な交流の機会が失われてしまうのです。
    特に家族以外との食事の場面では、この不安はより一層強くなります。せっかくの食事の時間が、気遣いと緊張の連続と化します。

  • 会話への影響

    歯の存在は、私たちの会話に重要な役割を果たしています。特に前歯は発音の要となり、「し」「ち」「ひ」といった子音を正確に発音する上で欠かせません。歯の欠損は舌の動きを制限し、思うような発音ができなくなってしまいます。
    うまく伝わらない歯がゆさは、コミュニケーションへの意欲も低下させます。相手に聞き返される機会が増え、会話がスムーズに運ばなくなると、次第にストレスが蓄積していってしまうのです。

気になりだしたら止まらない口臭

口臭は、人間関係に深刻な影響を及ぼす可能性がある問題です。
多くの患者様が、家族や親しい方からの指摘をきっかけに治療を決意されます。
口臭は、大切な家族との団らんや、久しぶりの再会の場面で、知らず知らずのうちに人との距離を作ってしまいます。一度不快な思いをさせてしまうと、その印象は簡単には拭えないものです。
主な原因は、むし歯や歯周病などによる口腔内環境の悪化です。これらは適切なケアで防ぐことができます。特に、人が集まる機会の前には、歯科医院でのチェックをお勧めします。

さまざまな形で
高齢者をサポート

訪問歯科

歯科医院に通うのが難しくなっても、口の健康を諦める必要はありません。当院では、訪問歯科診療を行っています。
例えば、腰の痛みや手足の不自由さから外出が難しい方、寝たきりの状態にある方、ケガや病気で通院できない方など。そんな方のもとへ、歯科医師や歯科衛生士が直接お伺いします。
自宅や介護施設で、むし歯や歯周病の治療、入れ歯の調整などを行います。歯ブラシの指導や口腔ケアなど、セルフケアのサポートにも力を入れています。
訪問診療をご希望の場合は、まずお電話にてご連絡ください。

042-599-7599

周術期口腔ケア

手術を控えた患者様にとって、口の中の健康は特に重要です。口の中は細菌の温床。むし歯や歯周病があれば、細菌が血管に入り込み、全身に悪影響を及ぼしかねません。だからこそ、手術前の口腔ケアが欠かせないのです。
当院では、主治医からの依頼を受け、手術前の患者様の口内環境を整えます。むし歯の治療、歯石の除去、抜歯など、必要な処置を行い、清潔な口内を目指します。
手術後は、患者様の病室に歯科医師が訪問。口の中の清掃を行い、術後の感染を防ぎます。入院中は定期的にケアを続け、口内環境を整えた状態をキープするのです。
退院後は、治療が必要な場合、かかりつけ歯科医に情報提供し、スムーズな治療の継続につなげます。

訪問歯科や周術期口腔ケアについて詳しくは、当院のスタッフまでお気軽にお問い合わせください。

入れ歯について

良い入れ歯でしっかりと噛める環境を整えることは、食事を美味しく楽しめたり、他の歯を守ったりする効果があります。
そのため、当院では保険や自費に関係なく、一人ひとりのかみ合わせを考えて、お口にフィットした入れ歯を提供することを心がけています。

保険適用の入れ歯と
自費診療の入れ歯

「保険で作れるから安心」と考えがちな入れ歯ですが、保険診療と自費診療では大きな違いがあります。特に使用素材や製作技術において、選択肢が大きく異なります。
自費診療では、歯科技工士との密な連携により、より精密な調整が可能です。お口の形に合わせた細やかなフィット感の追求や、かみ合わせの丁寧な調整など、快適な装着感を実現できます。
ただし、どちらが患者様に適しているかは一概には言えません。生活スタイルや予算に応じて、それぞれの患者様に合った選択があります。当院では、個々の患者様の状況に応じた提案を心がけています。

  • 保険適用の入れ歯

    • 保険の入れ歯は、主にレジンというプラスチックで作製されている
    • 素材の特性上、強度を確保するため、ある程度の厚みが必要となる
    • 金属の留め具(クラスプ)を使用するため、口を開けた際の見た目が気になる場合がある
  • 自費診療の入れ歯

    • 臭いの付きにくい素材を用いるなど、目的に応じた素材選択が可能である
    • 留め具を目立たなくする設計や薄型デザインなど、審美性を重視した選択肢がある
    • 歯科技工士との綿密な連携により、装着感や使用感を重視できる

入れ歯の種類

  • 総入れ歯

    総入れ歯は、歯茎や粘膜の形状に合わせて製作します。吸着力で固定するため、高度な技術が求められるのが特徴です。違和感が少なく、快適な使用感を実現するには、入念な調整が欠かせません。

  • 部分入れ歯

    部分入れ歯は、いくつかの歯が残っている方のための義歯です。残存歯を土台にして、失った歯の機能を補います。
    保険の部分入れ歯の多くは、金属の留め具(クラスプ)で固定するタイプがメインです。コスト面では優れていますが、留め具が目立ったり、残りの歯に負担をかけたりするのがデメリットです。

当院で取り扱う入れ歯

保険適用の入れ歯

歯肉に触れる部分がプラスチックで作られている保険診療の入れ歯です。
幅広い症例に対応していて、リーズナブルかつ壊れた際にも修理が容易です。
しかし、ある程度の厚みが必要なので装着時に違和感を覚えたり、熱が伝わりにくかったりします。

ノンメタルクラスプ義歯
(ノンクラスプデンチャー)

ノンメタルクラスプ義歯とは、クラスプ(留め具の部分)が金属でない部分入れ歯です。留め具に使うプラスチックが歯ぐきの色に馴染むので、他のタイプの入れ歯よりもかなり目立たなくできます。
また、入れ歯を薄く作れ、その薄さはプラスチックやシリコンの3分の1程度となりますので、違和感が少なく入れ歯が初めての方におすすめです。

治療期間
2週間
治療回数
2~3回

Merit

  • 目立たず見た目をきれいに保てる。
  • 軽くて装着感が良い。
  • 金属アレルギーにならない(金属を使用しない場合)。

Demerit

  • 通常の入れ歯素材と比較して、劣化が早い。
  • 修理が難しい場合がある。
  • 歯ぐきを覆うため、歯ぐきが腫れることがある。
  • 保険が適用できないため自費診療になる。

いつまでも長く入れ歯を使い続けるために

入れ歯を長く快適に使用するためには、定期的なケアが欠かせません。歯茎の形状は年月とともに少しずつ変化し、それに伴って入れ歯との適合性も変わっていきます。
また、使用していく中で人工歯が摩耗したり、固定用のバネが緩んだりすることもあります。これらの問題を放置すると、装着感の悪化だけでなく、口内のトラブルにもつながりかねません。そのため、定期的な調整やメンテナンスが重要です。
お口の状態は日々変化していくものです。快適な装着感を保ち、長く入れ歯を使い続けるためにも、気になることがあればお早めにご相談ください。

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